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味噌を特徴づけるある事

 味噌についての第3回目。今回は「味噌を特徴づけるある事」というテーマです。 ある事って一体何でしょう? それはメイラード反応です。みなさん聞いたことありますか?メイラード反応とは、アミノ酸と糖の結合により、メラノイジンが生成される化学反応のことです。メラノイジンは褐色なのですが、加熱する温度や時間、熟成期間、そこに含まれるアミノ酸の量など様々な条件で、褐色の濃さが違ってきます。味噌の色はこのメイラード反応によって変わってきます。 味噌の一例を挙げると、アミノ酸が結合したものがたんぱく質ですが、味噌の原料である大豆のたんぱく質は水溶性です。大豆を水につける時間を短くして、大豆のたんぱく質を大豆の中にしっかり残すように作ると、茶褐色の濃い色の味噌が出来上がります。逆に、大豆を水につける時間を長くして、大豆の中のたんぱく質を外に出してから味噌を作ると、薄い色の味噌になります。 味の違いにも表れます。濃い色の方がアミノ酸が多いため、うま味を強く感じます。また、薄い色は濃い色に比べてアミノ酸が少ないためあっさりした味わいになります。 このメイラード反応という化学変化は味噌だけに限られたものではありません。例えば、パンを焼いた時に焦げ目がつくのはパン生地の中のアミノ酸と糖分が反応しているためです。また、緑茶とウーロン茶、紅茶などの茶類もメイラード反応で色の変化ができます。 理科の実験を家庭の台所でしているみたいで面白くないですか? 今度味噌を買うときにはこんなことも考えながら選ぶと面白いですね。 味噌のお話は次回が最終回となります。

味噌の歴史、調べてみたら面白い!

 味噌についての2回目の今回は、味噌の歴史についてお伝えします。 味噌の歴史は諸説ありますが、私が独断で面白いなと思ったものをご紹介します。 味噌は昔中国から伝わってきました。中国の豆辨醤(とうべんじゃん)が味噌の元であったと言われています。豆辨醤はそら豆を主な原料としており、それに麹や塩水、唐辛子などを混ぜて作ります。当時の中国ではそら豆の栽培が盛んであったのに対して、日本はそら豆ではなく大豆の栽培が盛んであったため、そら豆を大豆に置き換えて作られ、味噌となったそうです。 豊臣の時代には、伊達政宗が朝鮮出兵の際に持参した仙台味噌が夏場の戦でも変質や腐敗しなかったことから一躍有名になりました。政宗は日本初の味噌醸造所である「御塩噌蔵(おえんそぐら)」を設立しました。 江戸時代になると、徳川家康の命で当初は京都の西京味噌に対抗すべく白い味噌を江戸でも作り始めたのですが、どんどん色が濃くなり、徳川家康の故郷である愛知県岡崎市を代表する八丁味噌の近づき江戸甘味噌が生まれたと言われています。 まだまだ調べたら色々な歴史が出てきそうです。地域の食文化に合わせて味噌には色々な種類があることは前回お伝えしたところですが、味噌の数だけ歴史もあるのかもしれませんね。